日曜日は多くの観衆が集まる。女性は悪運をもたらすと信じている人が多いためか、ほとんどが男性。闘鶏場に近づくと、すさまじいばかりの声援が聞こえてくる。と思ったら、試合中、観衆は熱心に集中し、ひっそりとしている。
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しかし、試合の合間には業者のような連中が客から掛け金を求めて大声をあげてわめきだす。これが騒音の原因だ。このベット屋(とでもいいましょうか)は客に交わって客席のあちこちに陣取っている。
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試合の寸前。審判はまず、猛毒物質を除去するためであろう、各鳥の足に付けられた刃物を布できれいに拭く。次に、各鳥に相手の鳥を突っつく機会を与える。最後に、ご覧のように、押さえながらお互い突っつかせる。この時点で鳥は、通常、すでに怒り狂っている。
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時折、両者とも試合中にやる気がなくなったりする。そのような場合、審判は鳥を手にとり、雄鳥同士の敵意を刺激しようとする。
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隣にはタバコやガムを販売する子どもがいた。タバコは一本単位で販売し、買ってくれたら火も付けてあげる。フィリピンの労働者階級では幼いころから家計を手伝うことになっている。
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ノコッタ、ノコッタ!鶏は起こると、首の羽を立てるが、相手の鳥を殺したくなるほど怒っているとも思えない...
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試合後、刃物を外す。よい氏素性、よい餌、よい刃物の付け方。この三つの様子が勝利をもたらすと言われている。
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試合後、リングは清掃される。敗者は勝者の所有者に与えられる。ちなみに男が使用している三色のほうきはマンダウエ市のラボゴン区の特産物だ。
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うまく逃げる審判。この闘鶏場はセブ市と島の反対側にあるトレド市にあるが、周りの家より立派な造りで、VIP用にエアコンルームまであった。
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哀れな敗者。手塩にかけて可愛がられ、終いにはゴミ同様に扱われる。闘鶏のどこがおもしろいのかは、未だにわからない。もしかしたら、毎日毎日上流階級や華僑ビジネスマンにいじめられっぱなしの貧困層のフィリピン人は、週末に血を見ることで癒されるのかもしれない。
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フィリピンは闘鶏が有名だが、セブ島でも多くの闘鶏場が存在する。闘鶏場は合法と違法があり、合法はいつでも営業している。違法は祭りの際に出没し、現市長の好みにより、大目に見られている。闘鶏は日本の競馬と同様、億単位のお金が動く巨大な産業にまで発達した。通常の闘鶏の掛け金は数百円程度だが、ダービーの際の賞金は日本円で1千万円ほどにまで膨張する。これは、日本とフィリピンの価格差を考慮すると、数億円に等しい。そのためか、米国より鳥を輸入したり、貧しくとも鶏にだけは高価な餌を与えたり、軍鶏の番のためにわざわざガードマンを雇ったり、闘鶏狂のフィリピン人も多い。いったい何がそんなにおもしろいのかを探るため、闘鶏場に行ってみた。
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